残土トレーサビリティとは、建設工事で発生する残土が発生場所からどこへ運ばれたかを記録し、追跡できるようにする仕組みのこと。
建設発生土が適切に処分されているかを判断する材料に使われます。
建設発生土とは、建設工事に伴い副次的に発生する土砂をいい、一般的に「建設残土」と呼ばれています。
建設残土は毎年膨大な量(場外搬出量:年間13,263万立米*)が発生しており、約8割以上が公共工事により生じています。
*「平成30年度建設副産物実態調査結果(確定値) 参考資料」(国土交通省)
公共工事では、処分地が指定されている一方で、民間工事は、自由処分となります。
建設発生土の流れを以下に示します。
建設残土の類似例として、産業廃棄物は、環境省主導のもと、産業廃棄物が適切に処理されたかどうかを確認するために、1990年代にマニュフェスト制度が導入されています。 当該制度によれば、収集・運搬・中間処理・最終処分などを処理業者に委託する場合、排出業者は処理業者へマニフェストを交付し、適切に処理が行われたことを確認しています。
建設残土は、その後再利用可能な資源にもなり得るため、厳しい法規制の対象となる産業廃棄物には該当せず、「建設残土そのもの」を直接取り締まる法律は存在しません。 そのため、建設残土の発生場所からどこに運ばれたかという「トレーサビリティ」が明確ではない状態となります。 2021年7月の熱海土石流事件を受けて、国交省は、建設残土の発生場所からどこに運ばれたかを記録し、追跡できるようにする「トレーサビリティ」制度の導入を検討しています。